何よりも何よりも何よりも……?








タネは消え果て迷宮へ








この世に解けない事は何もない
どんなことにも理由があり、タネがある
そう、手品と同じように
だから、分からない事なんてある筈が無い
それは私が十分に知っている、そう思ってきたというのに


「……分かりませんね。事実は小説よりも奇なり、というのが本当だったとは」


例えるなら親子の様に、身体の成長が無い事もあってきっとそのままだと思っていた
けれど、身体が成長しないというのは精神が成長しないことと同義ではない
親子の様な関係に慣れ過ぎて、気がつかなかった
自分だけが心地よい夢に囚われて、現実が見えていなかった


「…………」


足を組み直して溜息
目の前に散らばるのは小道具のトランプ
……そういえば、あの子は何時もこれを散らばらせてくれていた
何度注意しても改善の見られないその行動を疑問に思っていたけれど、今はその理由が分かる
きっと私の気を惹きたかったのだろう、と
それは、子供による子供の為の子供らしい精一杯の行動
大人だと自覚し、保護者だと自覚していた私には、気がつけなかった行動


「ここで占いでも出来たら、何か手助けにでもなったんでしょうかねぇ……」


手の中に集めたトランプを玩ぶ
現在練習中の不完全な占いでは、きっと迷うだけ
……勿論、占いは答えなぞではない事は承知の上
それでも頼らなければならないのではないかと思ってしまう程、私は何一つ掴めない

あの子の事は、好きだと確信を持って言える
けれど、それの種類を尋ねられた時に私は答えられない
何を口に出しても違う気がして、何を口に出しても正しい気がする
そうして、考えれば心が痛む
口腔の潤滑油が乾く気がする
クラリと視界が霞む気がする
どれもこれも、考えも思い出も幻覚も無意識も私を悩ませてばかりいる
明確な答えは、どこにも見当たらないのに


苦しいと思う
辛いと思う
考えるのを止めたいと思う
それでも、止める事は出来ない
泣きそうなあの子を、投げ出して逃げる事なんて出来ないから


だから私はまだ、何時終わるとも分からない自分の心の迷宮での思考を終わらせる事が、出来ない








片肘をついて、顎を預けて、考えて
それでも答えは出てこない
考えれば考えるほど全てが、何もかもが分からない
何時もはこうではなかった
きっと今だけ、全てが迷宮の中心へ








「……私らしくも、ない」


もういっその事、何かしてしまえば良いのではないか、なんて思うなんて





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