分からない
でも、分かる必要なんてあるのか?








無知








それはポツリと零れた一言
どこか冷めた瞳で、呆れたような声で発せられた


「……分からない」


「はぁ?」


「何の意味もないのに。俺はお前が分からない」


「何言ってんだ?」


「お前は分かっているのか?」


「だから何を」


会話が成立しない


「……じゃあ言い方を変えよう。お前は、何故俺にこんなことをする?」


何を今更言いだすのだろう
理由はとっくに言ったはずなのに


「あ?別になんだって良いだろ。お前はただ、抵抗せずに大人しくしときゃ良いんだよ」


お前はただ、俺の望みを満たせばいい
只黙って、抵抗せず……それだけで全て丸く収まる、そうだろう?


「……そうか」


そうさ、それで良い
……それで、良いんだ


「でも、スネーク」


相変わらず冷めた瞳
そこに映るのは俺
……自分でも酷いと思うほど、何かに支配され歪んだ顔の俺






「俺が抵抗しなくとも……お前からは逃げられそうだ」






どういうことだ、そう口にしようとした時、


「……!!」


背後に感じたのは紛れもない……殺気
この状況で、俺にそんなモンを向けてくるのは一人だけ


「……何だよ、ホントに邪魔してくるとは思わなかったぜ?シャドー」


「……言ったろう。ジェミニをお主の暇つぶしにはさせぬと」


別に暇つぶしなどではないけれども
だったら何だ、と言われたら返す言葉も無い


「……シャドー」


どうして、何故、ここに
相変わらず分かりやすい表情をする


「済まない……ジェミニ。だが、拙者は……」


ヒュッ、と風を切る音
……ああ、身体が、動かな、い


「シャ、ドー……てめ……」


「自業自得だ……さあジェミニ、今のうちに」


「あ、ああ……」


待て
それは、俺の、
俺の……俺の……








俺の、何だろう……?





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