白黒的絡繰機譚

稀に実感する4つの事柄

ナンバー順にまとめてニードルからシャドーまでの8人組、同時にロックマンを相手にした8人組。
その所為か、何かと一まとめにされることが多く、仕事でも一緒になる事が多い。
そして、今みたいなそれ以外でも例外じゃない。
……つまり、俺には逃げ場がないってことだ。
逃げるのも面倒くさいっちゃ面倒くさいんだが、相手をするのもダルくて仕方ねぇ。

「ハード?どうしたの?」

どうしたぁ?
原因の奴が何を言うのやら……。なんて声に出すのも面倒くせぇ。
――嫌なことに恐らく、俺のこの態度が日に日にコイツの接触時間を長くしてるような気もする。
……止めた、考えるだけ無駄に決まってる。

「ねー、デート……じゃなかった。散歩行かないー?」

本音が出てるぞ本音が。隠すの下手なのか、それともアホなだけか。まあ、後者か。

「面倒くせぇ」

大体方向音痴だろうがお前。
お前が間違った方向へ行こうとする度に、わざわざ捕まえなきゃならねぇ身にもなれってんだ。
それを体験した全員が全員『いくら引きとめても自信満々に進もうとするから困る』っつってんの、知らねぇだろ?
こういうのはどうして決まって本人に自覚がねぇんだよ……。

「えぇー……。んー……。じゃあ、じゃあねぇ……」
「……出かける気ねぇぞ、俺は」

先手必勝……というか何と言うか。予防線程度にでもなりゃ良いって言うか。
あんまり好きにさせとくと、磁力で引っ張られる、っつーこともあり得るからなコイツは。出来ればあれだけは勘弁してほしいところだが。

「えー。こんな良い天気なのに?日光浴びないと身体に悪いよ?」

そりゃ人間の話だろうが。
ロボットが日光浴びたところで、塗料の劣化が進むとか……そういう事くらいしかねぇだろう。多分。

「知るか」
「ハードったら酷い……!俺が勇気出してデー……じゃない、とにかく誘ってるのにー」

勇気なんぞ、誰が出して欲しいって頼んだよ?
あー……やっぱり面倒くせぇコイツは。無視だ、もう何があったって無視してやる。

「……」
「ハード?」
「……」
「酷い。無視体勢に入ってる……!それなら俺も考えがあるからね!」

背中に負荷がかかる。
面倒だが振り返ると、眉をひそめて俺を睨む顔がある。

「根競べ」

はいはい、そうですか。
ああ、もう静かで動かなきゃそれで良い。つう事にしとこう。キリがない。
俺的には無視に他ならないだけの行為のはず、だ。でも、俺もどこかでは分かっている。
無視している、関わらないようにしている。それを言い換えれば、容認している。つまり……受け入れている?
つまりこのままだと――。……止めた、やっぱり考えるだけ無駄に決まってる。
そうに決まっているんだ。







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