「俺に近寄るな」


それが最初にかけられた言葉だった








捕食








その理由を他の奴に聞いてみれば、アイツは蛇が苦手だという
けれども、近寄るなと言われれば逆に近づきたくなるモンだろう?


「そうは思わないか?」


組み敷いた身体にそう問うてみる


「……思わない。だから、早く」


「退けって?ヤダね」


「スネーク……!」


茶化すように断れば、本気で睨みつけてきやがる。怖いねぇ
だけど、その睨む瞳も怯えてるんじゃ効果は期待できないぜ?


「折角捕まえたのに放すわけないだろう?」


そう、折角
機会を窺って、やっと捕まえた
あの言葉を言われた時から、触れてみたいと思って、やっと


「……っ!!」


俺に全くもって開放する気がないのが分かったらしく、暴れ始める
けれども、コイツの抵抗なんて俺にとっちゃないも同然


「おっと、あんまり暴れられると優しくできないぜ、ジェミニちゃん?」


押さえつける手にさらに力をこめる


「スネーク……お前……何をする気だ……!」


瞳に更に怯えが混じる
……ああ、良いねぇ。それだからこそ欲しいと思ったんだ


「さぁね。知らない方が楽しいだろ?」


そう言って笑った俺は、アイツの目にどう映っただろうか
それは分からなかったけれども、俺から見るアイツの瞳はとても好みだった








……ただ、欲しいと思った
どういう意味でなのかは知らない、分からない
けれど、そう思ったからにはコイツは俺の獲物
ならば放しはしない


「別に俺を撃って逃げたって良いんだぜ?でもな、知ってるだろう?蛇ってのは執念深いんだ」


どれだけ逃げようとも、拒もうともそんな行為に意味なんかない
逃げられれば追い詰めて、拒むごとに締め付けて、最後の最後で食らうだけ








「逃げれるもんなら、逃げてみな」


さぁ、今から楽しい楽しい追いかけっこを始めよう





>>愚か者