白黒的絡繰機譚

敗北宣言

認めてなんか、やるもんか
だって認めたら俺が負けみたいじゃないか
どこがどう負けなのかって言われたら説明出来ないけれど、なんか癪だし
アイツにこんな事で負けなんか認めるわけにはいかない!
だから、

「何言ってるか分かんないんですケド」

俺は必死にシラを切る
……バレバレだけど

「だーかーらー、したかしてないかを聞いてるんだっつーの」
「嫉妬しただろ?なぁ」

「…………」

……なんか、ムカムカする
鋼野の声とか、さっきの事とか、もう色々

「盾くーん?」

俺を呼ぶ声が本当に癪に触って、認めるわけにはいかないと思っていたのに、気がついたら俺は、

「…………したよ」

言うはずのなかったセリフがポロッと出してしまっていた

「ん?」
「したよ!アンタが委員長と親しげに話すから!!」

放課後、部室でノートを忘れたことに気がついた俺は、教室まで取りに戻った
その時、ちょうど教室では日誌を書き終えた委員長がそれを渡しながら鋼野と楽しそうに話していた
……俺は何だかその場にいたくなくて、踵を返した
つまりは、委員長のことが好きな俺はたとえ鋼野といえど親しげに話してるのが我慢できなかったのだ

「…………これで良いんだろ」

あー、言っちまった……
しかも叫んじまったし、なんか俺馬鹿みたい……

「そうかそうか。やっぱりしてくれたか」
「…………?」

何か、おかしい

「やっぱ盾は俺のこと好きだもんなー」
「…………ちょっと待て」

鋼野の言ってる意味が分からない
普通、逆だろ?普通……

「ん?何だよ、盾」
「……なんで俺がアンタを好きなことになるんだ?」

普通ここはどう考えても委員長だろ?!
あれ、俺の方が間違ってる?

「なんで、って……俺が委員長となかよーく話してただろ?普通そこは嫉妬するだろー」
「…………しねーよ」

……なんか、頭痛くなってきた

「ちぇー、つまんねーの……でも」
「……?!」

鋼野がの左手が俺の頬に触れる
振り払おうとしたその瞬間に、耳元で囁かれた

「なんか、燃えてきた。次は絶対嫉妬させてやる」

その声を聞いた瞬間、何故か頭が真っ白になってしまった


認めてやるもんか、そう思っていたのに、なんだがもうよく分からない
俺は本当はどっちに嫉妬してたんだろう?