白黒的絡繰機譚

ゆううつあめは、めぐみあめ

どんよりした雲と、濡れるガラス。雨の日はどうしてこんなに憂鬱なんだろう。ボクには雨粒で落ちる薄い花びらなんてないのに。勿論、憂鬱なのはボクだけじゃなくてお花さんたちみんなそう。というかそもそも人が雨は憂鬱だし色々大変だからボクらがいるのだから、憂鬱になるのもなんか変な気はするかも。そんなことを頭の中に抱えつつ、湿った溜息と一緒に立ち上がる。どんな気分だろうと、お仕事はお仕事だからちゃんとしないとね。

「外へ行くのか?」

声に一瞬、時間が止まる。気づかれてないかな、変だと思われないかな、早く返事をしなきゃ。そんな思考が止まってた時間より短く駆け回っていく。

「は、はい。こっちは、一区切りついたので……」

データの入力やレポートの作成なんかのデスクワークはちゃんと終わらせたから。憂鬱な気持ちでいっぱいなのに、それ以外の部分はいつもと変わらない。だってボクはロボットだもの。そうなはず。そうでないと……バレちゃう、かも。

「そうか、流石だな。ならば俺も一緒に出よう」

彼の、ホーネットマンさんの声に、チビィたちが抗議をするようにビープ音を出した。こんな雨じゃチビィたちは暇をしているから、せめてホーネットマンさんと離れたくないんだろうね。そんなミツバチさんたちを、ボクはいつものようにちょっと羨ましく思う。外を一回り、見回りをする間だけはボクだってそうしたっていいと思いたい。……別に彼は、ボクと特別な関係でもなんでもないんだけど。

「全然、やみそうにはないですね……」

一緒に外へ出て空を見上げる。雲はどんより、雨は容赦なし。防水加工済みのボクたちは、傘なんて差さずにただ簡易なカバーを掛けただけ。素敵な状況ではないけど、それでも今だけはボクだけが、なんてね。

「そうだな。明日も日中は同程度の降水量だそうだ。……流石に続くとやや滅入るが、君がいてくれて良かった」

また一瞬、多分一瞬時間が止まる。ボクと同じ意味じゃない、きっとそう、分かっているのに、期待してしまう。聞き返す勇気はまだまだ、ないけど、

「……ボク、も、です」

違うけど同じです、くらい言っても、いいよね?