白黒的絡繰機譚

ニコライはすぐ隣に

Xmasネタ

全てを吸収するほどに冷えた雪道を、赤いロボットが歩いていく。片手にはビニールを被せた大きな紙袋を携えている。均等な歩幅で辿り着くのは、彼の帰るべき家だ。

「……よう、リング」
「ただいま、スカル。……大丈夫か?」
「ああ、寝てる」

居住部ではなく研究所側の扉を開けると、雪の色に似たロボットが迎えた。声量を抑えた会話をしながら肩の雪を払い、室内へと踏み入る。

「なら良かった。毎年気が気じゃないな。ま、いい加減お嬢様も気づいちゃいるとは思うが……」

スカルが首を傾げる。見た目に似合わない、子供のような仕草だ。

「? お嬢さんは俺に、サンタクロースが来るのが楽しみだと言っていたが」
「そりゃお前が……いや、楽しみならいいさ。こうして厳重に隠す甲斐がある」

リングが携えていた紙袋の中身は、緑のリボンに赤い包装紙でラッピングされた、つまりはクリスマスのプレゼントである。過去、好奇心旺盛な彼等のお嬢様が家の中にあったそれを発見しかけた事件から、当日まで外部――今年はリングの職場のロッカーの中――に保管するようになったのだ。勿論、今の彼女は家探しをしようとも、サンタを捕獲しようとも思わないだろうが、恐らく最後までこれは続くだろう。サンタの来ないもの達による、まるでかくれんぼのようなちょっとした楽しみのようなものだ。

「博士に渡して、俺等もさっさと休もうぜ」

少し早口でそう言ってくるスカルにリングはおや、と顔を見る。普段と変化はない。が、どこか違うような気がする。

「……どうした」

自身の振る舞いに気がついたのか、それともリングの顔に出てしまっていたのか――窺うような低い声だ。

「いや……そうだな、俺達もいい子にしてないといけないもんな」

サンタは存在しない。だが、特定の個人へのサンタになる誰かはいる。博士からお嬢様へ、スカルからリングへと想いを込められたものが渡ろうとしている。勿論明確な言葉はなく、予感のようなものだ。

「いい子ぶらなくても、来るだろうさ」

そう言ってスカルが笑う。予感は確信へ変化する。確かにそうだな、とリングは返した。彼等のクリスマスは、これからだ。