黄色のリボンもあげるわ
リング不在、スカル+カリンカ。欠損的描写有り
「お嬢さん、ちょっといいか」
ココン、とせっかちなノックの後にドアを開けてきたのはスカル。最初、スカルが作られてすぐの頃ははノックなんてせずに開けるものだから、みんなに怒られてたのを思い出した。多分口に出すと、スカルは拗ねちゃうけど。
「どうしたの? 珍しいわね」
「俺だってお嬢さんにご用な時はある。それでだな、こう……箱が欲しいんだが」
「箱?」
箱なんて、お父さまのところにいくらでもあると思うのだけれど。私がそう思ってるのが分かったのか、スカルは片手でこれくらいの、と示した。数センチくらいのそれは、確かに私しか持っていないかも? でもどうかしら、小さなネジを入れるケースだったらそれくらいのもあるのかしら。
「あれだよ、小さくて中が見えなくて、蓋と箱が別になってて、えーとだな、そう、トクベツカン? ってやつがあるのがいいんだ」
「そういうのは沢山持っているけど……」
なら、お父さまのところにはない箱だ。
チョコレートやクッキー、アクセサリーを買った時に入っていた可愛くて素敵な箱たちは、捨てられないまま私の部屋にある。中身だけじゃなく、外も素敵なのだもの。全てとっておけないから、いつかは整理しないとと思っているけど、きっと今じゃないはず。そんな箱とスカルは、あまり結びつかない。スカルもきっと、それは分かっていると思うけど。
……なんて私の心の中は、スカルにお見通しだったみたい。
「ああ、お嬢さんじゃないから俺には似合わないだろうな。だが、それでいいんだ」
「……何を入れるの?」
小さな箱を、いくつか並べる。スカルはどれを選ぶのかしら。
「これだ」
スカルが片手を開く。握っていたのは、小さな曲がったパーツのようなもの。見上げると、あまり見ない顔をしていた。笑っている、のだと思うけど。
「指だ。リングの指。この前仕事で壊れただろう。取っ替えになったから、拝借した」
リングにもお父さまにもスカルは言っていないのだろう。サイズ的にもまるで指輪のような箱に入れて、たまに眺めるのだろうと私は思った。ため息をつく。
「悪趣味ね」
今更だろう、とスカルは笑ってリングの赤に近い色の箱にそれを入れた。