白黒的絡繰機譚

伝心ウロボロス

「流石に俺でも、毎回そういう反応だと傷つくわー」

慣れれば全て上手くいく、なんて事は早々ない。それでも最初よか十分マシにはなってるけどな。

「……無茶を言うな」

不服そうな声がちょっとばかし下から返ってくる。いつもどおりの、やや不機嫌なジェミニ。そういう表情も俺は好きだけど?

「別に取って食おうってワケじゃないんだし? あ、勿論お望みってんなら……」

みなまで言う前に、ジェミニがすげー嫌そうな顔をする。いつもの軽口だってのに、真面目だねえ。まあ、取って食わないが別の意味で食っちまいたいなー、とは思ってるが。

「別に目瞑っときゃ良くね?」
「それは……それだと、まるで俺がお前を怖がっているみたいだろう」

みたいも何も、とは思うがね。いや、お前が怖いのは俺というか俺のモチーフだけど。顔を近づけりゃ、どうしても丸呑みされるような錯覚くらい覚えるだろう。それでも俺の腕を振り払わないんだから、可愛いよなあ。そういや可愛いって評価、ジェミニ的にはどうなんだろうな。美しいとズレるからアウトなのか、それとも容姿を褒めてることにゃ変わらないからオッケーなのか。でも別に、俺は容姿のみでジェミニのこと可愛いって思ってるんじゃないけど。

「……その顔を見る限り、別に俺が改善する事はなさそうだがな」
「そう? 俺ってばどういう顔してた?」
「言う必要はなさそうだが。……俺がどう反応したって、お前としては楽しいのだろう? 傷なんざつきもしない癖によく言う」

悪趣味め、とジェミニが言う。随分な評価だ。

「さっすが御名答。ジェミニったら俺の事ぜーんぶ分かってるんだから」

俺は全部分かってやってるし、ジェミニは全部分かってそのままにしてる。いやはや、俺達ってば以心伝心。そういうトコ好きだぜ。
だからやっぱ、名前らしくがぶり、といってしまいたい気持ちになる。勿論食っちまったらそれきり、いやそうでもないか? 何にせよ勿体なさすぎて本気にゃできねえけど!
……なんて俺の頭の中身もジェミニにはお見通しだったみたいで、溜息とほぼ同時に口――今回はメットの方――が指で押される。

「だから言う必要なんてなかっただろうが」

そりゃそうだけどさ。でも言わせたいのが男心、いや単に俺の趣味なんで? 勿論それも知ってるだろうけどな!