まるごと、ぱくり
「――それって、どれくらい?」俺がそんな風に聞き返すのは初めてだったからか、横の奴は一瞬驚いたような表情をする。すぐ元通りの笑顔に戻ったけど。微妙に胡散臭いけど慣れたそれは、聞き飽きるほどに俺に言ってくることがある。よくもまあ、そんな言い換えとか色々できるな……と感心するけど、それ以上に呆れてる。
「どれくらい、ですか」
「具体的にしても意味ないのは、よく分かってるけどさ……」
「それでも、理解の上で取っ掛かりが欲しい、という感じですかね?」
頷くと、考える間も取らずにすぐに言われた。
「食べてしまいたいくらいです」
「……うん?」
予想外のがきた。もっとこう、数値的なのがくると思ってたし、そういうつもりで聞いたんだけど俺。だって、わからない。俺たちは数値の決まりきったロボットで、そう作られてそう動いてるのに、そこにぼんやりした好きだの可愛いだの、言われても。何か明確な判断基準を以て数値化して、その閾値を超えた……そういうのが、俺達じゃないのだろうか。
「こちらではこういう言い回しはしませんかね?」
「多分、ある、けど。人間同士なら例えだなってわかる、でもアンタが言うと、ちょっと笑えないかな……。あとどれくらいなのか結局わからないし」
実際俺を食べやすくできる程度に戦闘能力とかに差があるのだろうし。あとコイツやっぱりこういうとこ宇宙のロボットだよな、とか思ったりする。てかコイツって飲食するのかあ、とか今更なことに気づいたりする。いや、結局どうなんだろ。慣用句だし……。
「あまり詳細に言うと、それはそれで愛情表現に相応しくないとは思うんですけどね。ほら、我々侵略種ですし? 結局一番大切なものを守れるのは自分ということになるんですよ。なので、何があっても一番安全かつ、誰にも盗られることがない場所でずっと一緒にいたい、というのを端的かつちょっとロマンチックに言うと――ウェーブ、貴方を食べてしまいたいくらい好きです、となるわけです」
やっぱりこれだからコイツは、さあ。でも、
「……ロマンチックなだけじゃないだろ」
だってコイツ、侵略種だから。