泣いてしまいそうな、くらい








苦しくて苦しくて








優しいところが好きです
優しい貴方が好きです
貴方だから好き、です

止まらなくて、留まらなくて、流れ出してしまいそう
想いに質量があったなら、僕の身体はきっと耐えきれなくてはじけ飛ぶ
それくらい、貴方の事が


(すきです)


今日もまた、声に出せなくて言ったフリ
今日でもう、何回目だっけ?
勿論覚えてるけど、恥ずかしいから見ないフリ
でも、見ないフリが出来ないものも、ある


(ああ、また)


ボクの視線の先には勿論貴方
でも、今貴方が見ているのはボクじゃない
……分かってる、それがボク達の仕事だって事くらい

ふわふわ可愛い女の子
貴方はとても真面目だから、熱心な子だなぁ、位にしかきっと思っていない
でも、ボクには分かるの
だって女の子とボクは、きっと同じ目をしてる
同じ気持ちを抱えてる


(かわいそう)


そんな事を思う資格なんて、ボクは持っていない
けど、そんな風に思わずにはいられない
それくらい、ボクもあの子も切ないから
どうして恋って、こんなに苦いんだろうね?


(苦いのは、嫌い。だから……)


ボクはこれ以上何も、出来ない
今でさえ十分苦くて、苦しいのに、これ以上なんて耐えられないよ
貴方が昨日くれたチョコレートとは、違う
苦さの先に甘さがあるなんて保証は無いの
だから口に入れることも出来ないで、銀紙に包まれたままで冷蔵庫へ
……意気地無しだって事は分かってるよ
それでも、ボクは、傷つくのが、怖い


(怖い。けど、やっぱり……諦められない)


怖いけど、貴方に好きなって欲しい
怖いから、この不安を打ち消すように抱きしめて欲しい
微笑んで、抱きしめて、好きだと言って
誰でも無い、ボクだけに……!






「――……プラントマン」



聞きなれた、大好きな声
名前を呼ばれただけで、ボクの沈んだ気持ちが浮上する


「は、はいっ!な、何ですか?」


「いや……用があるという訳ではないんだけどな。君が落ち込んでいる風に見えた。何かあったのか?」


ああ、どうして?
どうしてこの人は、こんなに優しい言葉をくれるの?


「大丈夫ですっ。ええとその……もう、大丈夫ですから!」


「そうか……なら、良いんだが」


本当の事なんて、言えない、です






苦しくて、苦しくて
ねぇ、お願いします
ボクがこの想いを抱えたまま枯れてしまう前に、どうか






(すきになって、ください……なんて)






お願いさえも、苦しすぎて口に出せない