はじめてのそれは、とても








シゲキテキ








ふとメモリーを探ってみたら、どこにも見当たらなかったのであります


「ファイヤーマン……?」


「何だ?」


ファイヤーマンご自身は特に何も気にしていらっしゃらないところからすると、別に珍しいことでもないのでありましょう
それでも、わたくしには初めてだったのであります


「あの……今日は、マスクがないのでありますね」


ヘルメットから続くようにして、口元を覆うマスク
今日はそれがどこにも見当たらないのであります


「そうなんだ……!聞いてくれアイスマン!!」


「は、はい……。わたくしで宜しければ」


ちょっとビックリするくらいの剣幕でそう言われてしまえば、わたくしには同意するしか出来ず
……と言ってもわたくしにファイヤーマンからのお誘いを断ることなど出来ないのでありますが


「エレキマンの奴がな……持っていってしまったんだ!」


「マスクを……でありますか?」


「ああ。そして言ったんだ『ワタシは優しいからね、ちょっとした刺激になるだろう?』と!」


アイツは意味が分からん!と仰る通り、わたくしにも何が刺激になるのかよく分からないであります
刺激、とはチクチクすることだった気がするのでありますが……?


「仕事中でもないし、無くても良いと言えば良いが、落ち着かん……」


「……?そうなのでありますか?わたくしには普通にしていらっしゃるように見えましたが……」


わたくしがそう言うと、ファイヤーマンは少し考えてからこう仰いました




「そうか!これが刺激というヤツか!」




「刺激、でありますか?」


チクチクすることではなく、マスクが無いことが刺激なのでありましょうか……
よく、分からないであります


「そうだ!アイスマン、お前の前である意味無防備な姿を晒すという事がきっとそういう事なんだ!」


「そうなのでありますか……」


説明されてもやっぱり良く分からないであります……
だって、わたくしの前でマスクを付けないこと、それだけであります


「ああ。アイスマン、お前は何も思わないか?」


そう仰いながら、ファイヤーマンはわたくしにグッとお顔を寄せてきたのであります


「あ……」


その瞬間、わたくしのどこか(よく分からなかったのでありますが)がちくりとしたのであります


「どうした?顔が赤くなってきたぞ?」


ファイヤーマンの仰られる通り、顔の温度がどんどん上がってきているようであります
どうしてなのでありましょう
ファイヤーマンのお顔が近くなった事は沢山あります
でも、こんな風に温度が高くなる事はなかったように記憶しているであります


「あの、ファイヤーマン……」


きっと、そういうことなのでありましょう
エレキマンの仰った事は、とても正しかったのであります


「何だ?」


「わたくしにも、分かったであります」


何時もと違って、お話になるたびに動く口元
それだけなのでありますが……どうしてこんなに『刺激的』なのでありましょう?








やっぱり、刺激とはチクチクすることなのでありますね