このクラウンマン様がこんなに色々やってやってるのに!








道化様とのお約束








もっとありがたがるべきなんだ
このクラウンマン様が……好きになってやったのに!
それなのに!


「ムカつく!生意気だ!!」


「そう言われましてもねぇ。駄目ですよクラウン、人に向かってそんな『ムカつく』や『生意気』などと言っては」


ヘラヘラしてホント、ムカつく!
完全に子供扱いされてるのか分かる
俺、子供扱いされるのだいっ嫌い!


「……ムカつく」


「だから、駄目ですよ。いくら貴方のお気に召さないものが多いとはいえ……少しは我慢を覚えるべきです」


「……我慢なんて、嫌いだ」


だってそんなことしても何の得にもなんないし
それしたら何かゴホービでもくれる訳?
オマエが俺の事好きになってくれるんなら、やってやっても良いけどね!


「そう言うと思いましたよ……」


なんで呆れた風に言うんだよ
分かってるなら、最初から言わなきゃ良いのに
そういうトコ、ムカつく


「でも、何時までもそれでは済まされませんからね……クラウン、私と一つ約束をしませんか」


約束?
面倒くさそうなんだけど、ま……まあ、聞いてやっても良いかな?


「聞くだけ聞いてやるよ」


俺様ってばやっさしい


「では……クラウン、私は貴方にもう少しだけいい子になって欲しいのです。その為には貴方の嫌いなものを少しでも好きになってもらいたい」


なんかもう、すっごい面倒くさそうな予感……
逃げとけば良かった


「でも、これは私の勝手なお願いに過ぎません。だから、貴方と一つ、約束をしましょう」


何だよ一体
いっつも思うんだけど、ちょっと回りくどくない?






「もし私のお願いを聞いてくれたのならば、私も何か貴方の言うことを聞きましょう。勿論何でも」






「な、何でも……?」


自分でも思うまぬけな声
でも今の俺には耳を疑っちゃうほど嬉しい約束


「ええ、何でもです。新しいおもちゃでもお菓子でも何だって良いですよ。勿論私の新作手品でも」


「……最後のはイラねー」


新しいおもちゃもお菓子も魅力的だけど、もっと欲しいものがある
『何でも』なーんて言ったからには、覚悟しとけよ?


「酷いですね……そう、ちょっと言葉づかいも直さないといけませんね……ってクラウン!」


やっぱり話が長いんだもん
ここまで聞いてやったんだから、もう良いだろー?








「約束!ちゃんと覚えとけよ!忘れたら許さないからな!」








このクラウンマン様ばっかり振り回されてるのは割に合わないだろ?
だから、ちょっとだけ頑張ってやっても良いぜ!