だって私はお姉さんなんですもの








お姉さんは知っている








先に作られたから、とかそういうことだけじゃない
私は私自身で思って、考えて行動してる
お姉さんぶってるわけじゃないのよ決して
でもね、


「これはないでしょう、これは!!」


こんなことされたら、叱らずにはいられないの!


「…………スマン」


「ご、ごめんなさいであります……」


私の前で小さくなっているのはファイヤーマンとアイスマン


「で!どうしてこんなことになったのかしら?」


こんなこと、っていうのは今の部屋の状態のこと
私が昨日頑張って掃除したっていうのに!散らかしたレベルの話じゃないの!
どう考えたって本気で喧嘩した、ってレベルの散々な状態なの!


「……言いたくないであります」


何時もは素直なアイスマンがそう言って顔を背ける……ただの喧嘩、って訳じゃないのかしら……?
というかただの喧嘩でここまでやるわけないわよね


「ふぅん……私に言えないことがあるの?アイスマン」


「……え〜、それでも言いたくないのであります」


アイスマンがここまで頑固に言わないなんて、よっぽどのことなのかしら
もしかしたら、ファイヤーマンに聞く方が早いかもしれないわね


「アイスマンが言わないって言うなら……ファイヤーマン、何があったの?」


「……俺が、」


「俺が?」


「アイスマンのちょっとした一言で熱くなってしまって、」


「こーんなことになったの?」


呆れちゃうほど些細な理由だけれども、基本的に怒りっぽいファイヤーマンならあり得る話なのよね
でも、それにしてはアイスマンが理由を言わないのがよく分からないんだけど……?
そもそも、この二人が喧嘩したっていうのが引っかかるの
ちょっと前はともかく、最近二人はとても仲が良かったし……

それは少しだけ、何か引っかかりを覚える仲の良さだったけど


「……そうだ。俺が、俺ともあろうものが!あんな……!」


思い出して興奮したからか、炎を強くしながらファイヤーマンは声を荒げる


「分かったから落ち着いてファイヤーマン!……ともかく!貴方が原因ならアイスマンに謝ってここを片づけること!良いわね?」


「ああ……アイスマン、俺が」




「ち、違うであります!!」




「アイスマン……?」


ファイヤーマンの声を遮って、そう必死に叫んだのは、アイスマン


「謝るべきなのはわたくしなのであります!わ、悪いのはわたくし一人なのであります……ファイヤーマンは別に、悪くないであります!」


……ど、どういうこと?


「わ、わたくしは……ファイヤーマンにわたくしだけを、見ていてほしいのであります……」


小さいけれど、ハッキリした口調でアイスマンは言うの


「たとえ些細な時であっても、他のお方に目を向けられるのはとっても嫌なのであります……」


その言葉にはどれも……言い表せないような気持ちが含まれてることが、私にも分かった


「わたくしはワガママなのであります。それでこんな風に迷惑をかけてしまうのであります……ファイヤーマン、こんなわたくしのことお嫌いになりましたでありますか……?」


弱弱しくそう聞いたアイスマン


「そんな訳ないだろう!俺が想いを曲げることなどあり得ない!」


返って来たのは、力強い否定


「え……?」


信じられない、といった様子でアイスマンはファイヤーマンを見上げる


「そうよ、アイスマン。ファイヤーマンがあなたを嫌いになるなんて、あり得ないわよ。勿論、逆もね」


今なら、はっきり分かる
この二人に覚えていた引っかかりの正体
つまり二人の間には、私やロック、博士にさえ入りこむことのできないモノがある、ってこと


「ど、どうして……言いきれるのでありますか?」


そんなの、決まってるじゃない
私には、分かるの
だって、








「だって私は貴方達のお姉さんですもの」








さて、仲良しなお二人さん
お互いに謝ったら、後片付けを頼めるかしら?