白黒的絡繰機譚

すきだよ

初めて君のこと知った時はビックリしたんだ。
だって君は小さくて、それに俺たちと違って元々はお手伝いロボット、正直、負ける訳ないって思ったよ。
……その時はそれ位しか思わなかったなぁ。
俺、君のことより博士に言われた任務の方に興味あったし。
……あ、俺さちょっと不器用だからさ、細々したことより大きいものをどうにかする方が好きなんだ。
うん、だから博士のくれる任務が好きなんだよね。
でっかいビルとかいっぱい壊してきていい、って言ってくれるんだもん。
でも、今はビルとかいっぱい壊すより、君のことがすきだよ。
ホントだよ? 俺嘘吐かないもん。
なんかさー、前にちょっとフラッシュの奴からかってやろうと思ってちょっと嘘吐いたらすぐバレちゃったんだよねー。
アイツが言うには『顔に嘘って書いてあんだよ』ってことらしいんだけど。
すぐばれるんじゃ面白くないからさー、それから俺、一度も嘘吐いたことないよ。
あ、話それちゃったね。
えーと……どこまで話したっけ?
……そう、そうだった。じゃ、続き話すね。
俺がね、君のこと気になり始めたのはね、やっぱり強かったからだよ。
フラッシュも、メタルも倒しちゃうだもん。
ビックリしたよー、最初はまさかと思ったんだけど事実は事実だったし。
だから、気になったんだ。
その時はすきとかそういうんじゃなかったんだけどね。
俺、戦闘用ロボットだし戦うの嫌いじゃないからさ、強い奴と戦ってみたかったんだ。
もう何時来るのかと思ってワクワクしてたよ。
そう、その待ってる間俺相当落着きがなかったらしくてさ、クイックにまで『少しは落ち着け』って言われたんだよね。
自分だっておんなじくらい落ち着きがなかったくせにさ!
きっとクイックも君のこと好きなんだよ。
でもでも! 絶対俺の方が君のことすきだよ!
で、君が俺のエリアに来たっていう連絡受けた時は嬉しかったなぁ。
やっと来てくれたんだ、って。
本当はさ、我慢できなくて君のとこまで俺が出向いちゃおうかなーとか思ったんだけど、やっぱしなくて良かったよ。
楽しみは最後までとっとく、って良いね。
俺、何時もは楽しいこと最初にやっちゃうんだけど、ホント我慢して良かった!
で、で、君がここに入ってきたときね、俺……自分がいきなり故障しちゃったのかと思ったんだ。
だって博士の為にも君を攻撃しなくちゃいけないのに、俺の頭はそれを思いっきり拒否し始めたんだもん。
それに冷却機能が効かなくなったみたいに身体がどんどん熱くなっていくし、俺の身体なのに、俺の制御が全然効かなかった
でもなんとか身体を動かして、がむしゃらに君に攻撃したんだ。
頭の中はもう自分でもよく分かんなくなっちゃって、めちゃくちゃだったけど。
……だからかな、案の定負けちゃった。
ああ、謝ることないよ。だって先に攻撃したの俺じゃん。
君は悪くないよ。
で、さっき俺にさ、泣きながら『ごめんなさい、大丈夫?』って言ってくれたでしょ?
あの瞬間俺、分かったんだ。
君のこと、すきだなって分かったんだ。
ね、俺君のことすきだよ。
だからさ、君に壊されても平気だよ。
君、いつまでも俺に構ってられないでしょ?
博士を止めるんでしょ?
君に壊されるなら、俺、良いよ。
……え、壊さないの?
俺、君と一緒に行っていいの?
ホント?! 嬉しいな!
フラッシュとメタルもいるの?君ってホント優しいんだね!
俺、さっきよりももっともっと君のことすきになったよ!!
……でも、困ったなぁ。
これから君のそばにずっといたら俺、どこまでも君をすきになっちゃうよ。