白黒的絡繰機譚

先生それは、

オイオイ、何だよ康一君その顔は。

「あの。よく、意味が……」

……だからさっきから繰り返し言っているだろう康一君。
僕と、君は、付き合う、つまり恋人同士になるべきなんだ。
……何だよ、その反応は……もしかして今まで言われた事が無かったかい?

「よ、余計なお世話です!……それに、初めてじゃないんですけど」

な、なんだって!?
康一君、何処の誰だ僕の康一君にそんな事をしたのはっっ!!
康一君は僕のものだって決まっているというのに、何処の誰だ!康一君!!

「せ、先生……っ」

あ……ああ、済まない、康一君。
わ、分かっているとも?君は今、誰とも付き合ってない分かっているさ。
……話を戻そう。
康一君、僕と付き合ってくれるだろう?

「え、えーと……露伴先生?僕、さっきから……」

確かに漫画家の僕と、学生の君じゃあ、生活リズムが合わないかもしれないな。
けど康一君、そんな事はとても些細な事だ……そうだろう?
僕は世間の遅筆な奴らと違うからね、君の生活に合わせる事なんてなんて事ないさ。
勿論、君も僕に合わせなくっちゃあならない……。クソッたれ仗助やアホの億泰、ましてやプッツン由花子なんかと帰ったりせずに、真っ直ぐ僕のトコにこなくっちゃあならない。
普通に考えて……普通に考えてだぞ、康一君。
恋人が他の――それが例えどんなクソッたれやアホやプッツンの、君が絶対に恋愛感情なんて抱かないに決まっている奴だとしても――僕を差し置いて仲良くされてちゃあ、面白くないからな。
まあそれ位は当然だろう?そういうものだからね。

「だから先生、僕」

……なあ、時に康一君。
君は僕のスタンド「ヘブンズドアー」の能力を、知っているよな?
君の身体はそれによって体重を失った事もある位だし……知らない、なんて訳はある筈がない、そうだろう?

「……先生、僕を脅す気ですか?」

ハッハッハ!まさか!そんな事する訳ないじゃないか!
そんな事したら面白くないからな、それに君だけじゃなくて君に関わる全ての人に使わなきゃいけなくなる。
流石に面倒で、非効率的だ。つまり、しない理由はその3つだけで、僕には出来るってことだがね。

「……」

ん?どうしたんだい康一君、そんな変な……そう、僕の言う事に納得のいかない様な顔して……。

「先生、先生はさっきから色々な事を言って……僕に何を求めてるんですか?」

だからさっきから何度も言っているじゃないか。
まさか君は、それも分からないくらい勉強が出来なかったかい?

「先生こそ。順序が間違ってるのに気がつかないんですか?」

……?順序?
康一君、一体何を言っているんだ?

「まだ、ですよ」

だから康一君、君は一体――。

「……僕、まだ先生から、告白されてませんよ?」