白黒的絡繰機譚

EF7598

ゲーム準拠鉈です

あまりにも変な事を言うから、嫌になる。
だから呪うぞ、って言ってみた。

「オー、厳しいな!」

でも、そう言って額の位置に手を当てて、笑っただけだった。
……ぼくの呪いが、怖くないのか?
変わってる。この学校に変わってない奴なんて、ぼくを含め一人もいないから、ぼくがそう思うのはちょっと変ではあるけれど……。

「まあ呪われたら呪われた時。八墓、キミに呪われるなら本望!」
「…………」

変わってる、じゃない。鉈は……馬鹿、だ。
ぼくなんかに好きなんて言って、ぼくなんかに優しくしすぎる。ベタベタする。口説く。そういうとこ、嫌い。
だって煩すぎるから。ぼくはもっと静かに暮らしていたいんだ。それなのに、さ。鉈なんかに好かれて、ぼくの生活が、めちゃめちゃ。嫌い。

「…………」

鉈の顔……お面を、見る。

「……ワオ!」

すぐ気がついて、反応してきた。煩い。
ぼくは木乃伊とか、三途とか、とにかく他のサッカー部のみんなの方が好き。
なのに、鉈はサッカー部のみんなより、ぼくの方が好き。
世の中は、上手くいかない。だからこそ、呪いが必要。
都合の悪い段差を一気に解消する手段。上手くやれば、ぼくが失うものは何もない。
勿論、ぼくが上手くやれない訳がない。だってぼくだもの。

「……藁人形、つくろうかな」
「藁人形?」
「そう、藁人形……。勿論、鉈の……」

呪ってあげる。ぼくの為に、その気持を失ってよ。
流石にサッカー部として困るからね?命を貰うとか手足を失うとか、そういう呪いは止めといてあげるから、ね。

「イイねグレート!」

鉈は、笑う。

「……は?」
「ああ、確か髪の毛が必要だったっけ!いいさ、好きなだけあげよう八墓、キミにだけ!」

本当に、変だ。ぼくの呪いの予告に、笑っていられるなんて、変だ。
だってぼくなのに。ぼくの呪いなのに。おかしい、変、鉈は、変。

「…………」
「オー!どうした八墓?」
「な、なんで……?」
「ハハ、決まってるだろ!さっきも言ったじゃないかキミに呪われるなら本望!」

だってキミが好きなんだ八墓!
…………だってさ。ホント、変わってて、煩くて、ぼくの生活が、めちゃめちゃ。
溜息を吐いて、持ってた本を開く。何の本?決まってるでしょ、呪いの本さ。

「オイオイ八墓?俺とのお話はもう終わり、って言うのか?」
「そう」

だってぼくは忙しいんだ。今この疲れる鉈、君とのやり取りで分かった事があるから、調べなきゃ。
ぺらぺらページをめくって、あれでもないこれでもないと吟味。どれもこれも、鉈には通じなさそう。
誰か教えてよ。どんな呪いをかけたら、ぼくは解放されるんだろう……?