白黒的絡繰機譚

kiss!kiss!kiss!

挨拶のキス、触れるだけのキス、恋人同士のキス、ディープキス。
額、頬、鼻、唇、首筋、手の甲。
キスの仕方も、する場所も沢山ある。

「どれが好き?」

なんて、今更な質問したと思う。だって答えは何時聞いても同じ、俺を喜ばせる以外の何物でもない言葉なんだから。

「全部好き……。土門とするなら、全部好きだな……」

今更な質問の答えは、少し浮ついた様な声で俺の腕の中から。力が抜けてふにゃった身体は、普段なら絶対に恥ずかしがる行動も可能にする。ぺったりくっついてくれちゃってさ、たった一瞬ですらそうなってくれるなんてコストパフォーマンスが良いってレベルじゃないよコレは。

「俺も全部好きかなー。仁ちゃんどこにキスしても気持ちいいんだもん」

柔らかくて、しっとりしてて気持ちがいい。
前にそう言ったら、機嫌を損ねたけど。別に仁ちゃんは太ってないってば……。それに痩せなくても良いと思うけどね俺は。今が一番丁度良いと思う。勿論俺が抱きついたりするのに、だけど。

「……んっ」

唇へのキスは愛情のキス、だっけ?確かに愛情持ってキスしてるけどね、どこかは忘れたけど、これも欲望のキスってやつなんじゃないのか?少なくとも俺は、そう思うけど。だって仁ちゃんってば、すっごいエロい顔してるんだよ?口元だけでそうだと分かるだから、きっと前髪が無かったら俺は色々と堪え切れなかったに違いない。

「……っは」

唇を放したら、まふにゃっとして俺にもたれかかっちゃってさ、これでおしまい、なんて出来る訳ないよ。

「気持ち良かった?」
「……うん……」

掌にキスして、手首にキスして、柔らかい二の腕にキスをする。これはどういうキスだっけ?

「土門は……?」
「俺?俺も勿論気持ち良かった……けど」

もたれかかってきた仁ちゃんの身体は温かい。いや、熱い。
キスだけでこれってそれ以上したらどうなるんだよ?なんて思うと、俺の体温も心拍数も急上昇。
キスしてた手に指を絡めて、こつんと額をつき合わせる。

「俺としては、このまま次の段階に行きたいなー……なんて」
「……土門は、俺とキスするの嫌い……?」

そんなの好きに決まってるじゃん!
でもさ、でもさ、仁ちゃんも男ならわかるでしょ!?

「嫌いな訳ないじゃん……」
「良かった……。ね、もう一回……」
「……はーい、もう一回ね」

そして、こうやって強請られたら断れないのもわかるでしょ?分かってやってる?でも頭が回ってる様には見えないんだよね。
でもさ、こうやってキスするだけじゃ昇華できないもの、仁ちゃんにもあるでしょ。仁ちゃんが俺に気持ち良すぎるキスを教えてくれたみたいに、俺もそれを教えてあげるから。
だからクラクラしてふわふわして、興奮が抑えられなくなる様なキス、してあげるよ!