駆け引きなんてもうお終い
「3枚」「ん、オレぁ2枚」
「時間どうだっけ? そろそろ怒られるかな……」
「赤いのだけなら怒らせときゃいいんだが、それ以外がねえ……」
「女性陣怒らせるのは本意じゃないしねえ。じゃ、これが最後だね」
淡々とカードを交換して、合間にグラスを傾ける。食堂の照明の大部分は落とされていて、オレたちのいる一角以外は厨房の奥がぼんやり明るいくらいだ。
「おし、最後の一勝負!」
投げ出す5枚は本日初めてのストレート、あちらさんが目を見開いたからにゃこれで勝ち確っしょ。
「……残念」
ビリーが自分のカードをこちらに見せる。オレと同じ、ハートのストレート。ただ違うのは……あっちにゃキングがいるってことだ。つまり、オレの負け。ここまできて?!
「だー! なんだよそれ!」
「あはは、ごめんね? 今夜も僕の勝ちだ」
「ったく、そんで今夜はどちらの部屋で……あっ」
流れるように口から出た誘い文句。今まではそうしてきた。けれど。
「……」
「……」
顔を見合わせて、そして逸らす。
――変な話でしょう。今まで散々遊びで寝てきたってのに、お互いそうじゃないって気がついた瞬間こうなるんだぜ。ほんの少し前まで、何も変わらずダチみたいに過ごせてたってのに。
「えー……じゃあ、解散、します……?」
「それは……」
それは嫌なのだと、お互い分かっている。けれども何故か気恥ずかしくて。ああ、馬鹿みたいだ。アウトローが泣いて呆れる。
どっかの赤い弓兵さんよ、さっさと追い出しに来てくれねえか。そしたら手を取り合ってベッドに行くしかなくなるんだから!