白黒的絡繰機譚

弾力性のある液体に関するなんやかや

※18禁描写有り※ スライムプレイのようなもの

魔術師ってやつは碌なもんじゃない。
勿論、マスターや、ぼんやりと覚えてる海の底の出来事で会った何人かはそうじゃないって思っちゃいるがね。

「にしてもこれはなぁ……」

自室の机の上で、揺れる半透明の粘体のような何か。所謂スライムってやつだ。
どこぞで発生した異常にレイシフトすると、どっかの魔術師がやらかしたらしく魔力を求めて暴れまくるスライムの大軍がいたのだとか。それを無力化した後「何かに使えるかなって」と持ち帰ってきたマスターは図太いというかなんというか……。
職員とキャスター連中による解析改造etcを経て、小型動物程度の知能と多少の魔力生成能力を与えられたのがオレの目の前にあるそれだ。

「とか言いつつ、貰ってるじゃないか」

そう言ったのは、勝手にやって来て勝手にベッドを占領してるビリーだ。枕を抱えてごろごろしている。

「トラップに使えるんじゃない?っていい笑顔で言われちゃ受け取らざるをえないでしょうが」
「マスターに甘いなぁ」
「ここの奴らは誰だってそうだろ」
「まあね」

しかし、これをどう使えってんだ……?トラップといってもイタズラ用じゃねぇのかね。どっちかっていうと、そこの悪童のが使いこなせそうだななんて思わなくもない。

「ロビン、ちょっと触らせてよ」
「オタク怖いもの知らずだな……」
「好奇心旺盛っていうのさ」

ベッドから立ち上がったビリーが、机の上のスライムに手を伸ばす。

「おっと」

ビリーの指が触れる前に、スライムはそのへしゃげたボールみたいな身体を弾ませて、手の甲へと着地した。

「多少の知性があるってのはマジなのかね」
「かな? ……あ、面白い感触」

今度こそつついて、楽しそうにしている。害がないのが分かってるとはいえ、よく触るもんだ。
本格的にそれで遊ぶことにしたのか、乗っけたままベッドへと帰っていく。……今更だが、人のベッドで好き勝手しすぎじゃねぇ?

「何があっても知りませんからねオレは」
「はいはい」

ひらひら手を振って、スライムのいなくなった机に向き直る。元々、トラップの仕込みをやろうとしていたとこだった。咄嗟でなんとかならないこともないんだが、ま、せこせこ準備しとかねぇとね。

「ふふ、面白いなーお前」

集中集中。こういうのは、ちょっとの手元の狂いが大惨事になるんですわ。毒使うなら当たり前のとこではあるが。

「ん、あー……おお? おー、すごいすごい」

分量はこれでよし。あとはこっちを……。

「え、ちょっと、ええ?」

……これをこうしてだな。んで、何するんだったっけか……。

「ひゃっ! ちょっと、……ひゃぅ」
「ああああ!! 何なんださっきから!!」

なんか変な調子になってきた声にたまらず振り返る。

「ロビン、これ、とって……」
「……」

――シーツの上は酷いことになっていた。
べっちゃりと濡れたシーツとシャツ。革のズボンに滴る恐らくスライム。潤んだ瞳と赤い頬。

「これ、なんか、ふえて。ふく、はいってきて……」

声が、上ずっている。違う、そうじゃなくて、これは。
もぞり、と動く足の付け根。はぁ、と吐き出される息の音。

「どこが無力化した、だよ……」

机の上の小瓶を手にとって――ご用意がいいようで、スライムをただの水にする一品だそうな――立ち上がると、ベッドに膝を乗せる。それだけでどろりとしたスライムはビリーの身体の上を流れたらしい。また上ずった声が漏れた。

「大人しくしてろよ」
「ん……っ」

瓶の栓を抜いて、中の粉を手のひらの上に出す。少しネクタイを緩めて、その隙間からざらりと流し込んだ。

「あ、あー……」

あっという間にビリーの身体の上を這いずり回っていた無法者はただの色水へと変わった。
ったく、なんでこんなもんまで用意してんのにちゃんと無力化してねぇんだよ。

「大丈夫か?」
「……」
「おい、ビリー」
「……あんまし、だいじょぶじゃない、かも」

べちゃべちゃになっちまったベストに手をかけて、そのまま乱暴に脱ぎ捨てる。
バケツの水でも被ったかのように、見事にずぶ濡れのそれが身体に張り付いて、普段から見えているラインが、余計に強調されていた。

「ロビン」

近づいたせいで、吐息がかかる。熱い息と、見上げる目から、何を要求してオレの名前を呼んでいるのかは、とっくに分かっていた。

「……何があっても知らねぇっつっただろ」
「ロビン」
「だが……」

こっちもまあ、アンタほどじゃないけど若いんで。

「どうなっても知らないからな」

顎に手をかけると、満足そうに微笑んだ。




「ん、あ、そこ。もっと」
「……とんだエロ生物だなアレ」

床に溜まった色水をちらりと見る。本当にどこか無力化だ。どっかの海賊秘蔵の本みたいなことになってるぞこっちは。

「なんか、ひりひりする……」

そう言って、ビリーがオレに上半身を擦り付けてくる。つまりまあ、胸だ。

「ここが?」

それの中心を指で引っ掻いてやると、ほんとウスイホンってやつかってくらいあからさまに反応があった。

「そこ、うぅ……」
「オタクここ、反応薄かったのにな」
「ううー……」

言い返そうにも、その言葉すら録に出てこないらしい。オレが撫で回すだけで身体全体で反応がある。

「ま、男だし反応薄いのが普通だろうが……それを、なあ?」
「ひゃうっ!」

引っ掻いて、抓り上げる。上がった声は、痛がっているというよりは、どう聞いても感じてるやつだ。

「……どえす」
「そういう趣味は持ち合わせてないはずなんですけどねぇ」

持ち合わせちゃいないので、ベルトに手をかける。普段はどっちかっていうと先にビリー自身から脱ぐ方だが、今はそれもできないらしい。
ベルトを抜く。が、染みた液体のせいで貼り付いて脱がせにくい。

「ん……っ」

皮膚が引っ張られたら流石に痛いだろう、と隙間に指を入れて、ゆっくりと剥がすように下げていく。膝立ちのビリーは、オレの首にしがみつきながらただ震えている。

「感じてんのか?」
「っるさい……はやく……」
「はいはい」

なんとか下げきる。……うわぁ、ここまでべっしゃべしゃじゃねぇか、すげぇなあのエロ生物。

「はやく」
「分かってるよ」

指をそっと中へ伸ばす。

「違う。……入る、から」
「いや、切羽詰まってるんだろうけど、そりゃ流石に……。一回出すか?」
「いい、から」

ぐい、と肩が押される。つまりオレの方が押し倒された形だ。見上げた顔は少し怒っているようにも見えた。

「あ、おい、こら」
「……っ」

オレを押し倒したビリーは、そのままこっちのモノも剥いで、勝手に腰を落としていく。やや辛そうではあるが言葉に偽りはなかったようで、確かに進みは悪くない。

「おま……」
「あは……っ。いい、顔」

アンタがそれを言うかね。オレなんかよりよっぽどイイ、って顔してるくせにな。
全部収まって、ビリーが長く熱い息を吐く。

「ろびん」
「……勝手に乗っかったくせにこっちに動けって?ったく」

まあこっちだって動きたいかと問われればその通りなわけで。押し倒された上半身を起こして、突き上げる。

「あっ、ん、ひぅ」
「アンタ、いつもより感じてるみたいだな」
「だって、あれ、が」
「ま、そういうことにしときますか」

普段よりしおらしい、力の入らない身体で、それでも必死にしがみついて。
勝手に人のモンで遊んだのは、まあチャラにしてやるよ……と、心の中で元スライムに告げる。

「もう、だめ。いく……っ」

大きく突き上げて、そしたらお互い吐き出して終い。締め付けられる以上に抱きしめられて、なんかこっちまでアレに何かされたような気分になった。




――その後、本当に無力化されたスライムは適当にカルデア内を闊歩してるんだから、ここは懐が深いっつーかなんというか。
まあそれより。

「やっぱ可愛いなぁこれ」

なんでオタクは懲りてないんですかね……、

「どうしてだろうね?」

ったく、謎生物よりこれは手に負えませんわ。