白黒的絡繰機譚

スキンシップLv???

――目を覚ますと、手を繋いでいた。
誰と?そりゃ決まってる。ビリーとだ。なにせ同じベッドの中にいるんだからな。
何で?そりゃ……そういうことだよ、言わせんな。
いやしかし、ここまで来るのは長かった。なにせ相手はすぐ容量不足になる恋愛初心者。こっちだってそれを笑えるほど経験があるわけじゃない。なら歩みは遅々としたものになるのは当然だわな。
で、今の状況だ。後始末をした後隣に入って寝た、それは覚えている。が、手なんか繋いだ記憶はない。となるとビリーが起きたのか?と思うが位置は変わっていないし、そもそもこんなことができると思えない。できたとしても、こうやって寝直すなんてできないだろ。絶対起きてる。

「……」

眠ってる顔は、なんともあどけない。少年って言葉がよく似合うよな。……別に問題はないんだが、どうにもヤバいことをしてしまった気持ちにならなくもない。もうやっちまったから今更だが。
……そういや、こうやって相手の顔をまじまじと見たのは、初めてだ。そうしたいと思ったことすら、今までなかったからだろうが。アンタも大概だが、こっちだって初心者みたいなもんなんだよ。一挙一動に、心臓跳ねさせてんだ。だがオレはこういう奴なんで、それをできる限り悟られないように、一歩先を行けるようにしようとしてる。男の見栄ってやつなのかね。まあ、コイツに言わせると「変な趣味を発揮してる」らしいんだが。そんな趣味なんざ持ってないし、持ってたとしてもその原因はアンタなんで責任を取ってもらいたいね。
――なので、オレは手を離さない。そして左手をそのままに、右腕で腰を抱く。いつの間にか近くなった距離に、一体どんな反応するんだろうな?

「おやすみ、ビリー」









――目を覚ますと、抱きしめられていた。 誰に?そんなのロビンしかいない。だってその……ね?ああもう!思い出すだけでもう焼けて死にそうなんだけど!最中はちょっとトンでたからある意味平気だったけどさ……。正気だと、恥ずかしくて仕方がない。

「……あ」

気がついた。抱きしめられてるだけじゃない。手、繋いでる。なんで? 寝る……というより意識飛ばす前は、そんなことしてなかった筈。というか、ロビン後始末してくれてるっぽいし……一回はベッドから出てるはず。なのに、ってことはロビンから?いや、そんなことするかなぁ……?
ぐるぐると頭の中だけが回る。困惑はするけど、手を離そうと思わない。違うな、離したくないんだ。
……そっと、僕の腰にあるもう片方の手に触れる。君の手の温度、僕は好きだな。ううん、君の全部が好きなんだけど。
なんて思うだけで、僕の心臓はやっぱり駆け出してしまって。案の定君が起きてしまった気配がする。だからきっと赤くなってしまった顔を上げて。

「おはよう、ロビン」







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