白黒的絡繰機譚

Looking for my

探しても探しても見つからない。
お前は俺のものなのに……。
気が付いたときには、もう何処にもいなかった。
辺りを見回しても、誰に聞いても居場所の見当さえつけられない。
ただただ、ふらふらとあてもなく。
俺はお前だけを求めて歩いていく。
――今いる都市がもうどこかも分からない。
ケガリーメンとか何とかいう奴らが襲ってきたが関係ない。
返り討ちにするだけだ。

「ぎゃ……ああああ!!!」

迸る赤。
でも、お前以外の赤なぞ汚いものだ。見る価値もない。

「邪魔をするな……」

会いたい会いたい会いたい。
俺を突き動かすのはその思いだけ。
なのにお前は何処にもいない。
目の前に現れるのは如何でも良い人間ばかり。ああ、何故?
……今いるのは一体どの辺りなのだろう。
如何でも良い人間ばかり溢れる街は窮屈だ。
早く抜けてしまおうと足を踏み出す。

「……っ」

踏み出した足がギシリと痛んだ。

(そういえば……このところずっと歩いてばかりだ)

休むことなく歩いた足は本当に棒のよう。曲げるたびに軋んで仕方ない。
見逃さないように開いていた目は乾いて充血しきっている。
脳味噌も上手く働かない。お前の顔さえ滲んでしまう。

(疲れた……)

近くの狭い路地に入り込んで、ずるずると身体をあずける。
耐えがたいような眠気が襲ってきた。
今の俺は、これに勝てない。時間は惜しいが、眠ってしまおう。
目を閉じる、
浮かぶのはやはりお前の事だけだった。

「……ベーベベ……」

ああ、願うのはただ一つだけ。目覚めたときにお前がいる事。
一体何処へ行った?お前は俺のものなのに。
――しかしお前は本当に自分のものか?
それすらももう分からない。
ああ、俺は本当にお前の事など何も知らなかったのだな。
そう自嘲して、俺は眠りへと引き込まれた。